今日は「山の日」です。
山の日に何を書こうかと考えていたのですが、せっかくなので今回は、ギアギアを始めたきっかけについて書いてみようと思います。
実はギアギアは、山を歩いているときの会話から生まれました。
場所は南アルプス、赤石山脈。
今のギアギアのメンバー3人で山を歩いていたときに、それぞれが普段アウトドアを楽しむ中で感じていた不便について話していました。
「あったらいいよね」と話していたものを、本当に作り始めた。
それがギアギアの始まりです。

山へ行く準備に、時間がかかりすぎる
そのとき話していたことのひとつが、「山へ行く準備に時間がかかる」という悩みでした。

メンバーのひとりは、山へ行く前日になると深夜まで準備をしていることがよくありました。
荷物を詰めること自体に時間がかかっているわけではありません。
難しいのは、「今回は何を持っていくか」を決めることです。
たとえば寝袋。
同じ山でも季節によって気温は違いますし、標高によっても変わります。
いくつか寝袋を持っていれば、
「今回はどの温度帯のものがいいだろう?」
と考えます。
インサレーションも同じです。
薄手で十分なのか、もう少し暖かいものを持っていくべきなのか。
経験を積んでギアが増えていくほど、選択肢も増えていきます。
そんな話をしながら歩いていたとき、こんな話になりました。
「同じ時期に、同じ山へ行った人は、どんな装備を持っていったんだろう?」
それが分かれば、準備はもっと楽になるんじゃないか。
去年の同じ時期にその山へ行った人が、どんな寝袋を使って、どんなウェアを持って、どんな装備で歩いたのか。
もちろん暑さや寒さの感じ方には個人差がありますし、そのまま真似すればいいわけではありません。
それでも、実際にその山を歩いた人の装備は、自分の準備を考えるうえでひとつの参考になります。
さらに、自分自身が過去に使ったパッキングリストも残しておけたら便利です。
春の山ならこの装備。
夏ならこれ。
テント泊ならこれ。
毎回ゼロから考えるのではなく、過去の自分や誰かの経験をベースに、今回の山に合わせて調整していく。
そんなふうに準備ができたら、前日の夜をもう少し穏やかに過ごせるんじゃないか。
そんなことを話していました。
ギアの情報が、ひとつの場所にまとまっていてほしい
準備を簡単にすることを考えていくと、別の課題も見えてきました。
自分が持っているギアを管理するためには、そもそも「どんなギアなのか」という情報が必要です。
アウトドアの世界には、本当にたくさんのブランドと製品があります。
同じような用途の製品でもメーカーによって特徴が違いますし、重量やサイズ、スペックも違います。
一方で、それらの情報はメーカーやショップなど、いろいろなWebサイトに散らばっています。
似たような製品を比較したいだけなのに、それぞれのサイトを開いてスペックを確認しなければならない。
僕自身、ずっと「アウトドアギアの情報がひとつの場所にまとまっていたらいいのに」と思っていました。
当時はそれを、メンバーの間で「ギア図鑑」と呼んでいました。
ギアの名前やブランドだけではなく、重量やスペックが整理されていて、似たギア同士を比較できる。
そして、その中から自分が持っているものを選んで、自分の持ち物として管理できる。
ギアのデータベースと、自分の持ち物管理。
この2つをつなげたいという考えも、ギアギアの原点のひとつです。
「あの人、何を使っているんだろう」
もうひとつ、山を歩きながら話していたことがあります。
これはもっと単純な話です。
登山道ですれ違った人を見て、
「あの人、どんなギア使ってるんだろう?」
と思うことがあります。
見たことのないザックだったり、格好いいテントだったり。
単純にギアが好きだから気になる、というのももちろんあります。
でも、今振り返ってみると、それだけではなかったように思います。
経験のある人は何を持っていくのか。
この季節、この山ならどんな装備を選ぶのか。
どのギアを持っているかだけではなく、「その人が、どんな状況でそのギアを選んだのか」を知りたかったのだと思います。
だからギアギアでは、自分のギアを登録するだけではなく、パッキングリストを作り、それを公開できるようにしています。
ギア単体の情報だけでは分からないことも、「誰が、どこへ、どんな装備で行ったのか」が分かると見えてきます。
誰かの経験が、次にそこへ行く誰かの参考になる。
そんな場所を作りたいという思いがあります。
僕が一番なくしたかったのは「忘れ物」
3人でいろいろな話をしていましたが、その中でも僕自身が特に解決したいと思っていたことがあります。
それが、忘れ物です。
僕自身、これまでアウトドアでいろいろな忘れ物をしてきました。
登山に行くのに登山靴を忘れたこともあります。
テントを持っていったのに、テントを立てるためのポールを忘れたこともあります。
笑い話で済む忘れ物もあります。
でも、山ではそうではないものもあります。
たとえば冬山で手袋を忘れる。
あるいは、山の中で手袋をなくしてしまう。
それは単に「不便だった」で済まない可能性があります。
山では、ひとつの忘れ物が安全に関わることがあります。
だから僕は、準備を便利にしたいということ以上に、忘れ物を減らして、もっと安全にアウトドアを楽しめるようにしたいと思っています。
パッキングリストを作って、ひとつずつ確認する。
今のギアギアでも、そのためにできることはあります。
でも、チェックリストだけで忘れ物を完全になくせるとは思っていません。
いつか「持たずに家を出たら分かる」ところまで
これはまだ実現できていない、ずっと先の話です。
いつか、
「今日必要なギアを持たずに家を出たら、スマートフォンが教えてくれる」
くらいまでできたらいいなと思っています。
「テントのポール、持っていませんよ」
「今日はこの装備が必要じゃないですか?」
そんなことを、家を出たときに教えてくれる。
そこまでできれば、本当に忘れ物を減らせるかもしれません。
もちろん、今すぐ実現できるものではありません。
でも、その未来を実現するためには、その前に必要なものがあります。
世の中にどんなギアがあるのか。
自分はどんなギアを持っているのか。
どの山へ行くときに、何を持っていくのか。
そして、実際に何を持っていったのか。
そうした情報がつながって、初めてできることがあります。
そう考えると、今ギアギアで作っている「ギアを登録する」「持ち物を管理する」「パッキングリストを作る」といった機能は、僕たちが最初に山で話していた未来へ向かうための土台でもあります。
ギアギアは、まだその途中です。
山の日に、改めて思うこと
南アルプスを3人で歩きながら、
「準備、もっと楽にならないかな」
「同じ時期にこの山へ来た人って、何を持ってきてるんだろう」
「ギアの情報がまとまっていたら便利だよね」
「忘れ物もなくしたいよね」
そんな話をしていました。
そのときは、今のギアギアの形がはっきり見えていたわけではありません。
でも、振り返ってみると、今作っているものの多くは、あの日の会話につながっています。
準備をもっと簡単にすること。
誰かの経験を、次に山へ行く誰かの役に立てること。
そして、忘れ物を減らして、安全にアウトドアを楽しめるようにすること。
まだまだ実現できていないこともたくさんあります。
それでも、あの日に山を歩きながら話していたことを、少しずつ形にしていきたいと思っています。
山の日。
せっかくなので今日は、ギアギアが生まれた山での会話と、僕たちがこれから作っていきたいものについて書いてみました。
